痔に悩む人の約半数が痔核です。
痔核は、できる位置によって、歯状線より上のものは内痔核、下のものは外痔核と呼びます。痔の中でもっとも多いのは内痔核です。
クッションの役割を果たす内痔静脈叢や外痔静脈叢と呼ばれるたくさんの血管の集まりが、うっ血してふくれあがったり、それを支える組織が弱くなって肛門の外に飛びだしたりします。
排便時の負担や老化、便秘や出産、スポーツによるいきみなども、悪化の原因になると言われています。
【症状】
・排便時に、血が出た
・排便後、便が出きっていない気がする
・肛門に、違和感がある
・肛門のまわりに、イボがある
ジオン注(4段階注射法)について。
硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸(ALTA)を患部に注射し、痔核を直腸の粘膜に固定・退縮させることで痔核の脱出・出血症状を改善する治療法です。
1つの痔核に対して4箇所に薬液を分割して注射し、十分に浸透させます。
複数の痔核がある場合にはそれぞれに対して同様に注射します。
この投与法は、一般に「四段階注射法」と言われています。
投与後、しばらくすると出血は止まり、脱出の程度も軽くなります。
1週間から1ヶ月前後で投与された部分が小さくなり、脱出や肛門周囲の腫れもひいてきます。退院後もしばらく通院し、治療経過を確認することが必要です。
1)以下の方々は、薬剤の特性上、治療が受けられません(禁忌)
・妊娠している、または妊娠している可能性のある女性
・授乳中の女性
・小児(15歳未満)
・透析治療を受けている方
・嵌頓痔核の方
・リドカインに対して過敏症の既往がある方
2)以下の方々は、薬剤の特性上、治療にあたっては主治医とよくご相談ください(慎重投与)
・腎障害のある方
・高齢者または全身状態が不良の方
・心刺激伝導障害のある方
・重症の肝機能/腎機能障害のある方
どんな治療法にも、良い面と悪い面があります。
治療法を決定する際には、主治医とよく相談しましょう。
メリット
・一般的に結紮切除術と比べて痛みや出血が少なく、治療期間も短いため、身体的・精神的負担が軽減されます。
・当院では日帰り治療を行っております。
・治療費が結紮切除術の1/3~1/2程度(保険診療の場合)で、経済的負担が軽減されます(施設により費用は異なります)。
デメリット
・外痔核には効果がなく、すべての痔核に向いているわけではありません。
・四段階注射法は難度の高い技術のため、この技術の教育を受けた医師が在籍する施設でないと治療ができません。